ビッグスクーターの始まりとは?ルーツを探ってみよう。

ビッグスクーターの始まりとは?ルーツを探ってみよう。

ビッグスクーターの始まりとは?ルーツを探ってみよう。

始まりは、SPACY250FREEWAY
 今から約38年前(1984年)、ホンダから新設計の水冷4サイクル単気筒エンジン (244cc)搭載の軽二輪スクーター「ホンダ・スペイシー250フリーウェイ」が発売されました。

 

 長距離走行も考慮された大型(8.6L)フューエルタンク、高出力(20PS/ 7,500rpm)でありつつも、燃料経済性(50km/L・50km/h定地走行テスト値)をマーク。

 

 当時は現在でいう、250ccクラスにおけるビッグスクーターというクラス分けがまだありませんでした。

 

 50ccから125ccまで展開していましたスペイシーの最上級モデルとして登場し、原動機型式はMF01E。ホンダのエンジンを取り扱う方には、とても感慨深い型式:MF01なのです。

 

 

 フォルツァMF-06のエンジンからスタートした私個人の見解としても、多くの点で興味と比較の対象となった経緯があります。

 

 既に定着したビッグスクーターというカテゴリーは、現状では人気度や販売台数の実績を見ても、125ccクラスのPCXやNMAXなどへ移行した感が否めません。

 

 今回は、当時大きなブームさえ巻き起こしたビッグスクーターの海外展開や、日本国内でのながれについて調べてみようと思います。

 


乾燥重量(kg)はなんと118kg

元祖ビッグスクーター
 ホンダの1970年から1990年代の商品ラインナップから、企画コンセプトやエンジン等のクオリティは賞賛に値すると思います。

 

 この型式:MF01も例外ではありません。スタートから水冷4サイクルOHC単気筒搭載の縦型シリンダーで、ボア×ストローク72.0o×60.0oから20PS/7,500rpmを発生します。

 

 オートマチック(Vマチック)の変速機形式を有しながら、乾燥重量は118kgとなっているのです。通常200Kg近くあるこのクラスからすると、座高も低く、軽快に走れそうですね。

気になる縦型エンジン

シートの下には、タンクとエンジンが
 ビッグスクーターという観点から、SPACY250FREEWAYを観察してみると、全体的にコンパクトな印象を受けます。

 

 実はシートの下には、ヘルメットを収納するメットインの機能はなく、8.6Lの燃料タンクがあり、その下部に縦型のエンジンが搭載されています。

 

 画像合成ですが、このような配置となっています。この当時は、この縦型が主流となっていたようですね。


メットイン機能は、5年後に発売されたFREEWAYから

進化した次のエンジン
 SPACY250FREEWAYの発売から5年後の1989年06月、ホンダはスタイルや各装備を一新したフリーウェイを発表しました。

 

 特徴的だったのは、250ccクラスで初めてヘルメットを2個収納できる大容量32Lのセンタートランクを、シート下に設置。

 

 さらに、フロアステップの下に移設された燃料タンクは、9,2Lを確保しています。
 


 またMF03E(水冷・4サイクル・OHC・単気筒)エンジンは、従来の縦型エンジンとは違い、シリンダーの位置が変更したスイングユニット式になったのです。
 

主要諸元
全長×全幅×全高(m) 1.840×0.730×1.095
車両重量/乾燥重量(kg) 145/136
燃費(km/L) 40.1
最高出力(PS/rpm) 20/7.000
最大トルク(kgm/rpm) 2.2/5.500
タイヤサイズ 前 110/90-10 61J
後 120/90-10 65J

 今なお中古市場や街中で、このFREEWAYを見かけることもありますが、実際の走行となると、10インチでの高速走行は慎重にならざるを得ない時があるのではないでしょうか。

 

 たとえば、雨の日における道路のつなぎ目(鉄製ジョイント)であったり、それが高速のカーブ時であれば、なおさら注意が必要だと思います。


1986年 ホンダ フュージョンを発売

ロングホイールベースを初めて採用
 独創性に満ちたスクーター、フュージョン。

 

 その意味合いは、結合・融合を示し、クルマのような快適性とスクーターであることの気軽さを念頭に開発が行われました。

 

 特徴的なのはSPACY250とは違う、2人が乗車時でもしっかりと座れる段付きのシートや、1,625mmもあるロング・ホイールベース。

 

 シート下の収納に加え、ボディ一後方の大容量トランクルームも装備しています。

 

 フュージョンは一時期カタログのラインナップから外れますが、ビッグスクーターブームの到来により復活。2006年9月に発売された、フュージョンSE・20thアニバーサリーが最終モデルとなったのです。同年以降の排出ガス規制には適合出来ず、生産が終了となりました。

 

主要諸元
グレード名 フュージョン | FUSION
型式 BA-MF02
全長 (mm) 2265
全幅 (mm) 745
全高 (mm) 1355
ホイールベース (mm) 1625
排気量 (cc) 244
最高出力(PS) 19
タイヤ(前) 110/100-12
タイヤ(後) 120/90-10

絶大なるレーサーレプリカ人気

初代マジェスティの登場
 今から20年程前に起きたビッグスクーターブーム。その時代毎にそれぞれのトレンドがあるように、バイクにも流行がありました。

 

 1980ー90年代にはレーサーレプリカの絶大なる人気が発生。2st/250ccと4st/400ccの切り分け、RZ250や量産車で初めてアルミの角パイプフレームとフルカウルを用いたRG250Γが発売された時にはワクワク感を通り越し、驚きの一言でした。

 

 どのメーカーもこぞって、レプリカマシンを世に送り出していました。

 

 その後はネイキッドブームやストリートバイクが(TW200など)が台頭していきます。


ヤマハがマジェスティを発売

初代マジェスティの登場
 1995年8月、ヤマハから発売された「マジェスティ 250」。この初代マジェスティの登場は、250CCビッグスクーターの大きな流れを作った1台とも言えるでしょう。

 

 ハイスクリーンが付き、堂々とした車体とスポーティなルックス。29Lのメットインスペースと水冷単気筒エンジンを搭載。当時クラス最強の21馬力ハイパワーエンジンを積み、若者から大人まで支持を得ました。

 

 翌年の1996年、250ccクラスにおける登録台数がトップになります。

 

 ヤマハではマジェスティのマスコミ向けのディテール発表時、年間生産台数予定を3000台としていましたが、実際には1万台以上の生産台数を記録しています。ちなみに、発売当時の価格は47万9000円でした。

 

 この後に続く2代目マジェスティは、さらなる爆発的な人気を得て、ビッグスクーターブームを牽引していくのです。

主要諸元
ヤマハ マジェスティ
型式 4HC
全長 (mm) 2110
全幅 (mm) 765
全高 (mm) 1330
排気量 (cc) 249
最高出力(PS) 21
最高出力回転数(rpm) 6500
燃料タンク容量 (L) 11
タイヤ(前) 110/90-12
タイヤ(後) 130/70-12

1997年6月 ホンダ、フォーサイト初登場

これまでに培ったノウハウを基に
 ホンダは、スペイシー250・フリーウェイやロングホイールベースのフュージョンを既に販売していました。

 

 またこれらのノウハウを基に、1997年6月には250cc新型スクーター、ホンダ フォーサイトを発表。

 

 通勤はもとより、長距離ツーリングまで幅広用途ということもコンセプトに、前・後輪連動ブレーキシステムのコンビ・ブレーキを250ccクラスとしては初採用します。

 

 テニスラケットも収納可能な、シート下の40リットルもの大容量ゲッジスペースに12リットルの燃料タンクと、ライバルのマジェスティの主要諸元での数値を凌いでいるのがわかります。

 

 初代マジェスティの販売台数や人気もさることながら、ビッグスクーターとしてのルーツはホンダという意地的なものも、このバイク名(foresight=先見・洞察)から汲み取れそうですね。

 

 しかしながら、これから始まるビッグスクーターの大きなながれの中で、復活を遂げたフュージョンに対しフォーサイトは2004年生産終了となりました。

 

主要諸元
ホンダ フォーサイト
原動機型式 MF04E
エンジン型式 MF04E(水冷・4サイクル・単気筒・OHC)
車両重量/乾燥重量 162/149
最高出力(PS/rpm) 21/7,000
最大トルク(kgm/rpm) 2.4/5,500
タイヤサイズ 前 110/90-12 64J(チューブレス)
       後 130/70-12 59J(チューブレス)

1998年にはスズキが初代スカイウェイブ250を投入

初代CJ41A スカイウェイブ250
 ホンダ・フュージョンやフォーサイト、ヤマハ・マジェスティに続き、スズキは1998年2月スカイウエーブ BA-CJ41A型を発売します。

 

 これにより、レーサーレプリカ時代ではありませんが3社の競合体勢がスタートするのです。


 スカイウエーブには防犯上のシャッター付きメインキーや、モノショック式のリアサスペンション、足回りには前輪・後輪ともに13インチタイヤを装備します。

 

 またエンジンに関しては新開発の水冷4バルブエンジンを搭載し、クラス最高の最高出力23PSをマーク。これらタイヤサイズやハイパワーエンジンは他社を凌ぎ、足つき性の良くなったフロアボードは、実際に運転のしやすさにも貢献しています。

 

 マスの集中することや、軽量化を考えてレース用に開発されたモノショック式サスペンションが、このスカイウエーブに設定されたことにも当時は驚きました。

 

 ヤマハやホンダをよく研究し、市販化されたスカイウエーブは販売台数においてもヒット作となったのです。

 

主要諸元
スズキ スカイウエーブ250
型式 CJ41A
排気量 249cc
車体重量(装備重量) 184kg
フロントタイヤサイズ 110/90-13 55P TL
リアタイヤサイズ 130/70-13 57P TL
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
車体価格 549,000円(税別)

 

 

 

 


トップへ戻る